レディース通信No.247号(2020年12月)竹内レディースクリニック

広報委員より       No.247 2020年12月号

 

当院の生殖医療がスタートして今年で29年目となります。次々と新しい不妊治療施設が増えていますが、長年の知識と経験を活かしながらも最新の医療を提供できるよう日々研鑽を重ねております。現在、高度生殖医療センターの培養室(クリーンルーム)では、7名の胚培養士と1名のメディカルスタッフが在籍しており、資格をもって働いている者もいます。

 

「生殖補助医療胚培養士」・・3名(2021年度受験予定1名)

「生殖補助医療管理胚培養士(胚培養士の上位資格)」・・1名

「体外受精コーディネーター」看護師兼胚培養士・・1名

「臨床細胞遺伝学認定士」取得予定・・1名    

 

今回は当院の生殖医療を支える胚培養士が持つ資格について簡単にご紹介したいと思います。

 

「生殖補助医療胚培養士」

 一般的な胚培養士の資格といえばこの資格を指します(日本卵子学会認定)。試験内容は筆記・面接で、生殖医療に関しての幅広い知識が問われます。一年以上の実務経験があり、臨床症例数や指定された学会への参加回数を満たした胚培養士にのみ受験資格が与えられます。

 今月号編集者の私も今年受験して認定を頂きました。新型コロナの影響で試験日が4月から9月に延期になり、試験前の講習会がWEB開催になったりと、例年にはない対応に追われましたが、無事合格することができ安堵しております。

 

「生殖補助医療管理胚培養士」

日本で20数名しか所持していない胚培養士の上位資格になります。さらにハードルが高くなり、上記の試験に加えて、博士号の取得や、生殖補助医療胚培養士の資格を取得後5年以上の臨床実務経験があること、学会発表、論文執筆など様々な条件が課せられます。

 

「体外受精コーディネーター」

ARTに関する適切な情報提供活動を行い、不妊カウンセリング・ケアの実践や、研究活動を行う専門職です。試験内容は筆記・面接で、事前に養成講座の受講が必須となっています。

 

「臨床細胞遺伝学認定士」

 今年、当院はPGT-Aの臨床研究実施施設として認可を受けております。胚の染色体検査であるPGT-Aは、他の臨床検査と異なり、疾患の診断に直結する場合が多くなるため、より正確な判断を必要とします。この資格があれば、臨床遺伝専門医である当院の院長とともに、診療および遺伝カウンセリングに携わることができ、患者様によりレベルの高い医療を届けることができます。取得にはかなりの勉強量と資料作成が必要のため、現在受験準備中です。

 

 もちろん、資格を持っていなくても胚培養士として働くことはできます。しかし、患者様により安心して治療に専念していたくために、資格取得に励んでおります。資格は通過点に過ぎません。これからも日々新しい知識を吸収しながら胚培養士として成長していけたらいいなと思います。