高度生殖医療(ART)
高度生殖補助医療とは
一般治療ではなかなか妊娠しない難治性不妊症に対して行われる治療法です。
「体外受精」・「顕微授精」・「胚移植」などを指します。
体外受精(IVF)
体外受精(IVF)とは、排卵直前の卵を卵巣から採取し、培養液の中で精子と一緒にして精子自身の力で卵子の中に入り込み受精する方法です。
【適応】
卵管障害(卵管閉塞、卵管水腫、卵管欠除)、男性因子(乏精子症、精子無力症)抗精子抗体陽性(免疫性不全)、原因不明不妊
顕微授精(ICSI)
顕微授精(ICSI)とは、1個の成熟卵に1個の精子を顕微鏡下で注入し受精を試みる方法です。
【適応】
通常の体外受精で受精しない重症精子減少症、精子無力症、卵子の問題(透明帯の異常など)
胚移植(FET)
胚移植(FET)とは、体外で受精した分割した受精卵を子宮に戻すことをいいます。移植方法は超音波下で観察しながら、受精卵の入った細いチューブを通して子宮内膜に戻します。通常麻酔の必要はありません。10分程度で終了し、胚移植後の安静は必要ありません。
治療の流れ
- 排卵誘発(卵巣刺激)
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通常卵子は1カ月に1回1つの卵子が大きく成長します。排卵誘発は卵胞を複数発育させ、複数の良質な卵子を得る目的で行われます。卵巣刺激方法はいくつかあり、低刺激から高刺激な方法や自然に発育した卵子を得る方法もあります。患者さまの状態に合わせて方法を決定していきます。
- 卵胞の状況により適宜受診(2~3日に1回、連日の場合もあり)し、経腟超音波検査やホルモン採血を行います。
※採血結果が出るまでに1時間かかります。(午前10:30まで、午後15:00までになります) - 成熟卵胞が発育し、18mmに達したら採卵の36時間前(夜間帯)にHCGを注射します。
- 卵胞の状況により適宜受診(2~3日に1回、連日の場合もあり)し、経腟超音波検査やホルモン採血を行います。
- 採卵
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採卵とは、卵子を卵巣から体外に取り出すことを指します。具体的な方法として、経腟超音波を使用し、モニターで卵巣内の卵胞の位置を確認しながら卵胞に針を刺し卵胞液ごと卵子を採取します。
採卵は午前中に行います。
局所麻酔または全身麻酔(静脈麻酔)で行い約15~20分程度で終了します。全身麻酔は必ず付き添いが必要になります。
- 受精胚培養
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採取された卵胞液は、直ちに指摘培養環境下へ移されます。卵子は顆粒膜細胞という細胞に包まれた状態で卵胞液に存在し、胚培養士は顕微鏡下で顆粒膜細胞に付着している血液などを取り除きながら、卵子を回収していきます。
受精卵を分割期胚(受精3日目)または胚盤胞(受精5-6日目)に受精卵凍結液で処理後、液体窒素中で保存を行います。採卵翌日に受精の確認 → アプリにて通知されます。
- 新鮮胚移植
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胚凍結
移植の他に良好な受精卵がある場合は凍結保存します。採卵後に胚移植をした残りの受精卵を凍結しておくことが可能です。また、OHSS予防も考慮して全て凍結しておき、子宮内の状態を整えてから凍結胚移植を行うことも積極的に行われています。2~5日培養した受精卵を子宮に戻すことを胚移植といいます。新鮮胚移植とは、採卵と同じ周期で移植することをいいます。
凍結融解胚移植
受精卵を凍結させた後、早ければ次の生理より子宮の内膜を整えてから融解した胚を子宮内膜に移植することです。
- 判定日
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移植後14~16日目に判定日となります。
妊娠判定は採血によって行いますので必ず来院していただきます。
採卵当日の流れ
指示された時間に来院をお願いします。(基本、採卵時間の1時間前)
- 来院
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- 精液を持参された場合は、受付に預けて下さい。(精液採取から2時間以内にご持参下さい)
- 必要時、採血や診察をします。
- 外来にて膣の洗浄を行います。
- リカバリー室へ案内
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- 注意事項が記入されている「ピンクの札」をお渡しします。(採卵室の準備が出来るまで注意事項を読んでお待ち下さい)
- 病衣に着替えます。
- 採卵前にトイレに行くようスタッフから声が掛かります。
- 採卵術
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- お一人15~20分程度採卵室で点滴ルート確保をします。
- 静脈麻酔または局所麻酔使用します。
- リカバリー室にて1時間安静となります。
- 採卵後診察⇒帰宅
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- 診察をして問題がなければ看護師と打ち合わせ後に帰宅できます。
- 翌日まで自宅で安静をお願いします。
- 感染予防の為、採卵当日のシャワー浴・入浴はできません。