医療法人 仁知会 竹内レディースクリニック

不育症について

流産や死産を繰り返すことは大変辛いものです。適切な検査や治療を行いながら、その原因に向き合い、夫婦で支えあっていくことが大切です。

辛い気持ちを1人で背負い込まず、まずは当院へご相談下さい。

1.はじめに

妊娠はするものの、流産や死産を繰り返して元気な赤ちゃんを得ることが出来ない状態を「不育症」といいます。年齢によっても異なりますが、一般的に10〜15%は自然流産が起こると考えられています。しかし、2回続けての流産は「反復流産」、3回以上流産を繰り返す場合は「習慣流産」となります。

妊娠初期の流産の60~80%は胎児に偶発的に発生した染色体異常が原因といわれていますが、「不育症」の原因はさまざまです。流産の原因は多岐にわたり様々な検査を行っても原因をつきとめることが非常に難しいものです。毎回同じ原因で流産しているとも言い切れません。当院では、こうした状態の原因の究明・診断と治療を、専門医と相談して行っています。

2.流産の主な原因

表に示しますように、抗リン脂質抗体症候群、子宮形態異常、カップルの染色体異常(均衡型転座や逆位など)、胎児の染色体異数性、甲状腺機能異常、凝固異常症(第Ⅻ因子欠乏症・プロテインS欠乏症・プロテインC欠乏症)、糖尿病、免疫因子、原因不明などがあります。

過去の報告では50%以上が原因不明と考えられてきましたが、その理由は最も頻度の高い胎児の染色体検査が行われないことが多いためで、すべての流産に対して研究的にこれを調べた482組のカップルの原因分布では41%と最も高頻度でした。50%という報告もあります。

不育症の方は、これらの原因に対する治療を行うことで、妊娠・出産まで早くたどり着ける可能性があります。

また、原因不明の患者さんでも、2回流産のカップルの約80%、3回の約70%、4回の約60%、5回の約50%の方が次の妊娠で出産にいたっています。

夫婦染色体異常や子宮形態異常が原因でない夫婦の85%が累積的に出産しています。まずは不育症の原因を検索することが重要です。

3. 不育症の検査

不育症の原因を調べるために、当院では次のような検査を案内しています。

  • 内分泌代謝検査(甲状腺機能、下垂体ホルモン、卵巣ホルモンなどの検査)
  • 子宮形態検査(X線造影によって子宮の状態と卵管の通過性を検査)
  • 自己抗体/血液凝固系検査(抗リン脂質抗体や、血液凝固因子に関する検査)
  • 染色体検査 など

上記以外にも、必要に応じた検査を随時行っています。

4.不育症に対する治療

原因に応じて以下の様な治療を提案しています。

①染色体検査

着床前染色体検査(PGT-A・PGT-SR)

②甲状腺機能検査

内科と連携し内服治療

③血栓性素因検査

低用量アスピリン内服やヘパリン療法

④免疫機能検査

タクロリムス療法やビタミンD内服

⑤子宮内腔の検査

子宮鏡手術や抗生剤内服など

当院では、原因に応じてこれらの治療をお勧めしています。
流産や死産を繰り返すことは大変辛いものです。適切な検査や治療を行いながら、その原因に向き合い、夫婦で支えあっていくことが大切です。

辛い気持ちを1人で背負い込まず、まずは当院へご相談下さい。

よくあるご質問