こんにちは。臨床心理士の佐々木です。

妊活をしていく中で悩むことや辛いことは人それぞれですが、やはり、せっかく授かった赤ちゃんを流産、死産してしまうということは、最も辛い体験の一つなのではないでしょうか。また、不育症は、妊娠はするけれども、2回以上の流産、死産を繰り返して結果的に子供を持てないことをいいます。流産を防ぐことは状況によりますがとても難しく、自分の力ではどうしようもないことだったりします。しかし中には、「私があの時○○をしたから」、「私にもっとできることがあったんじゃないか」と自分を責めてしまう方が多くいらっしゃいます。

家族や友人に話しても、「若いんだからまたすぐできるよ」「いつまで悲しんでいるの、前を向かなきゃ」、「妊娠できるってわかっただけでもいいじゃない」「ママが笑っていないと、赤ちゃんはきてくれないよ」と、励まされたりします。でもその言葉が余計にあなたを傷つけてしまうことがあるのです。そして、悲しみに蓋をし、これ以上傷つかないために、「流産した悲しみを誰にも話せない…」と、心を閉ざしてしまうこともあります。

流産の哀しみはよく「対象のない哀しみ」といわれます。100%そうだとは言い切りませんが、まだこの世に誕生していない赤ちゃんを、周りはなかったことにしようとすることがあります。ですが、一度でも妊娠すれば、あなたの赤ちゃんは間違いなくお腹に存在し、あなたは間違いなくママになったのです。赤ちゃんを授かって、どんなことを考えたでしょうか。きっと、これから生まれてくる赤ちゃんとの未来を想像したはずです。そして流産をすることによって、大切な「いのち」と「赤ちゃんとの未来」を失う体験をしたのです。それは周りからは見えない死別です。

お花また、妊娠という喜びの後の喪失という「落差」によりトラウマ的な死別経験となることもあります。処置による体のダメージや、負担、痛みなどもあります。それらは妊娠、出産後の産後うつのリスクを高める要因にもなります。また、妊娠しても「また流産するのではないか」という不安を抱え続ける方も少なくありません。流産や死産の悲しみや傷ついた体験、今後の不安等、心理士に話してみませんか。次の妊娠に向けて、悲しみに蓋をしたままトライする必要はないと思っています。

カウンセリングによってあなたの心が少しでも癒され、失った「いのち」についてゆっくりと向き合う時間を設けることができたらと思います。流産のことを話すことは勇気がいることかもしれませんが、ふっと「話してみようかな」と思われた際には、いつでもお気軽にスタッフまでお声掛けください。

                臨床心理士 公認心理師 生殖心理カウンセラー
                                 佐々木