【不妊外来】治療内容

不妊治療の種類、詳細

一般検査

・内診:子宮(大きさや位置)、卵巣(腫瘍の有無)の状態などを調べます。
・血中ホルモンの測定:基本的にFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、E2(卵胞ホルモン)、P4(黄体ホルモン)、PRL(プロラクチン)の5項目が必要です。また、人によっては甲状腺ホルモンの測定やホルモン負荷テストを行う場合もあります。※月経時もしくは月経終了時までに行う場合と、黄体期に行う場合があります。AMH(抗ミュラー管ホルモン)測定検査は卵巣予備能(卵巣年齢)、生殖医療の治療方針、ART治療の予測因子、加齢と更年期など、卵巣の予備力などを調べる検査です。
・子宮卵管造影法:子宮の入り口より造影剤を注入し、レントゲン撮影を行い子宮の形、卵管の状態や通過性を見る検査です。一般的には月経終了から5日頃までに行います。
・超音波断層検査:経腟超音波によって子宮筋腫や卵巣腫瘍などの診断、排卵日の特定などを行う重要な検査です。
・頸管粘液検査:頸管粘液の性状を調べることで排卵期を予測します。
・フーナー試験(性交後試験):排卵日の頃、性交後3~12時間後に来院して、頸管粘液中に運動精子がどれくらいいるか調べる検査です。
・精液検査:精液量、精子の数、運動率などを調べます。

特殊検査

・腹腔鏡検査および卵管通水色素検査:腹腔鏡検査は内視鏡にて骨盤中にある臓器(子宮、卵管、卵巣、小腸、直腸、膀胱、骨盤壁など)間の癒着の有無を調べる検査です。また、この検査の時に卵管の通過性をみることも可能です(通水色素検査)。
・子宮鏡検査(ヒステロファイバースコープ):子宮の中に小型カメラを挿入して、子宮内のポリープや粘膜下筋腫、癒着、子宮内膜の状態を観察します。
・子宮内膜組織検査:高温相で子宮の内膜組織を採取して、内膜の状態を調べます。
・抗精子抗体検査:女性の血液検査で精子に対する不動化抗体の有無を調べます。陽性の場合、子宮内などで精子が不動化され受精できなくなっている可能性があります。
・染色体検査:妊娠しても流産を繰り返す場合などに調べる血液検査で、男性も女性も調べます。また、無精子症のときも調べることがあります。
その他
・感染症検査:HBs抗原(B型肝炎の検査)、HCV抗体(C型肝炎の検査)、HIV抗体(エイズの検査)、RPR、TPHA(梅毒の検査)、クラミジア IgA、IgG抗体など

タイミング法

妊娠につながりやすい性交を行うタイミングは、排卵日もしくは排卵日直前です。タイミング法とは、基礎体温と超音波で卵胞の変化を見ながら排卵時期を推測し、その排卵時期で性交を行うことです。

人工授精(AIH)

タイミング法と同様に排卵時期を推測して人工授精を行います。人工授精は子宮内に直接、調整した精子を注入する方法です。排卵が起こり、卵管の通過障害がないことを前提とし、適応は精子不良(乏精子症、精子無力症など)や精子-頚管粘液不適合、性交障害などです。

高度生殖医療(ART)

体外受精(IVF)
一度に多くの卵子を採取するために排卵誘発した上で採卵(卵巣から卵子を採取すること)を行い、採れた卵子を培養液の中で精子と一緒にして受精させる方法です。
適応:卵管障害(卵管閉塞、卵管水腫、卵管欠除)、男性因子(乏精子症、精子無力症)抗精子抗体陽性(免疫性不全)、原因不明不妊排卵誘発の方法は個人個人で異なります。
・顕微授精(ICSI)
体外受精と同様に採卵を行い、採れた卵子の中から成熟したものに特殊な針で直接卵子の中に精子を注入し受精させる方法です。
適応:通常の体外受精で受精しない重症精子減少症、精子無力症、卵子の問題(透明帯の異常など)
・受精卵凍結
受精卵を分割期胚(受精3日目)または胚盤胞(受精5-6日目)に受精卵凍結液で処理後、液体窒素中で保存を行います。採卵後に胚移植をした残りの受精卵を凍結しておくことが可能です。また、OHSS予防も考慮して全て凍結しておき、子宮内の状態を整えてから凍結胚移植を行うことも積極的に行われています。
・卵子凍結
癌、血液疾患等の化学療法や放射線治療は性腺機能を著しく低下させるため、治療前に卵子を凍結保存することが可能です。完治後、妊娠に向けて、凍結卵子を融解、受精、移植します。当院においても、卵子を融解・移植し、妊娠・出産が成立しています。
また、女性の社会進出等により結婚年齢が高くなってきた時代背景を考慮し、未婚女性を対象とした卵子凍結も行っています。こちらにおいても、卵子を融解・移植し、妊娠が成立しています。
・着床前遺伝子診断(PGT-SR、PGT-M)
顕微授精の受精卵を子宮に戻す前に、染色体や遺伝子に異常がないか調べて、発育可能な受精卵を選ぶ方法です。習慣性流産(3回以上流産を繰り返す)の中に、流産を引き起こす染色体異常を有する保因者の場合、何度も流産を繰り返すことがあります。着床前遺伝子診断で、流産を引き起こす染色体異常を有していない受精卵を子宮に戻せば流産を食い止めることができます。

不育症(習慣流産)・着床不全検査

*不育症(習慣流産)

妊娠はするものの、流産や死産を繰り返して元気な赤ちゃんを得ることが出来ない状態を「不育症」といいます。年齢によっても異なりますが、一般的に10~15%は自然流産が起こると考えられています。しかし、2回続けての流産は「反復流産」、3回以上流産を繰り返す場合は「習慣流産」となります。
妊娠初期の流産の60~80%は胎児に偶発的に発生した染色体異常が原因といわれていますが、「不育症」の原因はさまざまです。流産の原因は多岐にわたり様々な検査を行っても原因をつきとめることが非常に難しいものです。毎回同じ原因で流産しているとも言い切れません。当院では、こうした状態の原因の究明・診断と治療を、専門医と相談して行っています。

<不育症の検査>

・内分泌代謝検査 (甲状腺機能、下垂体ホルモン、卵巣ホルモンなどの検査)
・子宮形態検査 (X線造影によって子宮の状態と卵管の通過性を検査)
・自己抗体/血液凝固系検査 (抗リン脂質抗体や、血液凝固因子に関する検査)
・染色体検査 など
※上記以外にも、必要に応じた検査を随時行っています。

*着床不全

体外受精において良好胚を何度も移植しても妊娠しない、もしくは化学流産で終わってしまう場合には、子宮内環境に何らかの問題があることが考えられます。特に子宮内膜環境については、以下の検査を行っています。

子宮鏡検査 内視鏡で子宮の内部を観察し、ポリープや筋腫などが無いか調べます。
子宮内フローラ検査 子宮内に存在する善玉菌(ラクトバチルス属)のバランスについて検査します。
EMMA検査 子宮内マイクロバイオーム検査。子宮内フローラと同様に子宮内に存在する善玉菌の割合やバランスについて検査します。(この検査にはALICEも含まれます)
ALICE検査 感染性慢性子宮内膜炎検査。子宮内膜炎の原因として特によく認められる細菌を検出し、検出された細菌に対し推奨される抗生物質療法を提案します。
ERA検査 子宮内膜着床能検査。子宮内膜組織を遺伝子レベルで検査し、着床に適した時期を判断します。胚移植での妊娠率が向上すると報告されています。

当院では患者様向けの勉強会として「不妊症教室」を開催しています。
そこで、不妊症に関する一般的な基礎知識に関する内容での教室と、不育症・着床不全に関する内容での教室と、開催する日により内容を変えて行っています。
(開催内容、日時につきましては問い合わせをして下さい。)

流産や死産を繰り返すことは大変辛いものです。適切な検査や治療を行いながら、その原因に向き合い、夫婦で支えあっていくことが大事だと思います。辛い気持ちを1人で背負い込まずに、まずは当院へご相談下さい。